Columns by Eisuke Tomiyama
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波音を聞いて眠りたい

波音を聞いて眠りたい。
阿字ヶ浦のビーチから坂を上ったところに曽祖父が建てた夏の家があって、子供の頃から毎年夏になると
そこで長い時間を過ごした。

昭和初期に建てられたその家は平屋で、井戸の横にはシャワーがあり、僕が子供の頃はまだ庭の木が
小さかったから縁側から海が見えた。
家は古く隙間だらけで、テレビも電話もなく、夕食の後ひとしきり会話をしてずらりと敷いた布団で横になると
波音ひとつずつがはっきりと聞こえてきた。

20代の半ば頃、ノースショアのビーチサイドに立つ家で初めて眠った。
それまで聞いたことのない力強い波音。
その音を掻き消すかのように夜のKAMハイウェイを走り去るハーレーの低音。

重い水、深い闇。
底知れぬ重圧感と、そこに生きる人間の存在感。
そんなものを少しだけリアルに感じた。

波音を聞いて眠りたい。
波の音を聞きながら眠りにつき、目に見えぬ波の息吹とともに一夜を過ごす。
波のリズムは我が身に宿った邪悪な脈動を打ち消し、朝、目覚めるとともに身体は波のように動き始める。
だから、ありのままの海に打ち寄せる波の音を聞きながら眠りたい。